2026年06月18日 交通事故治療(頸部)のリハビリって何をするの?
1. 初期の適切な評価(トリアージ)
治療を開始する前に、重篤な疾患(レッドフラッグ)の有無を確認することが最優先です。
- レッドフラッグの確認: 外傷による骨折、脱臼、頸髄症(神経の圧迫症状)などが疑われる場合は、患部の治療に関しては、理学療法は原則として禁忌となります。
- 分類: 症状が「首周辺に限局した痛み」なのか、あるいは「上肢への放散痛やしびれ(神経根症状)」を伴うものなのかを評価し、治療方針を決定します。
2. 推奨される運動療法(積極的な改善アプローチ)
受動的な治療だけでなく、患者自身が体を動かす運動療法が重要視されています。
頸部深層屈筋(インナーマッスル)トレーニング
頸椎の安定性を担う深層筋を特異的に鍛えるトレーニングは、痛みの軽減と機能改善に効果的として推奨されています。
中心化(Centralization)を引き起こす運動
特定の方向に動かすことで、手先のしびれや痛みが首の中心へ集まって消えていく現象(中心化)が確認できる場合、その方向への反復運動を行うことが推奨されます。
全体的な筋力・持久力トレーニング
特定の筋肉だけでなく、頸部全体の筋力や持久力を高めるトレーニングも、日常生活の動作改善に役立ちます。
3. 神経系へのアプローチ(放散痛がある場合)
しびれや放散痛(神経根性頸部痛)がある患者さんに対しては、以下の介入が検討されます。
- ニューラルモビライゼーション: 神経の滑走性を促す手技(sliderなど)を、頸椎の牽引などと組み合わせて行うことは、短期間の痛み軽減と生活動作の改善に有効とされています。
- 姿勢の改善: 神経根症状がある場合は、運動指導や用具(クッションや枕の調整など)を用いた姿勢改善アプローチが、症状緩和を助ける可能性があります。
4. 注意が必要な介入(依存の防止と組み合わせ)
関節モビライゼーション(他動的な手技)
施術者が首を動かす手技は、それ単独で多用することは推奨されていません。ホームエクササイズや運動療法、生活指導と組み合わせて、必要最小限で行うべきとされています。
教育的アプローチ
単に「安静に」と伝えるのではなく、病態の理解、日常生活での対処法、心理的な不安への助言などを含む包括的な指導が、中長期的な回復をサポートします。
【重要】 必要に応じて薬物療法で疼痛コントロールすることも非常に重要となります。